なぜ認知症予防に眠りが大事なのか?

認知症予防につながる”眠り”の重要性わかりやすく説明します。

広島市の導眠整体らくしん館・ナガミです。疲労回復・不調改善と自然治癒能力を増幅させる

質の高い眠りを追求する”導眠整体”を実践してます。いっぽうで”上級睡眠健康指導士(※注1)

として日常における眠りの問題とアドバイスも行っています。今回は「なぜ認知症予防に

眠りが重要なのか?」のテーマに、脳内で認知症を防ぐ仕組みとともにわかりやすく説明します。

(注1:一社・日本睡眠教育機構より認定)

 

新薬「レカネマブ」とアルツハイマー型認知症の関連を説明します

今回は

認知症のなかで全体の7割近くの発症を占める

アルツハイマー型認知症をとりあげます。

 

最近、

レカネマブ」という新薬が厚労省で承認されました。

 

この「レカネマブ」は

アルツハイマー型認知症の原因と言われている

脳内のタンパク質「アミロイドβ」という有害物質を抑えて、

認知症の進行を遅らせるのが目的のようです。

 

したがって

すでに発症した認知症を根本から治すことは

できないようです。

 

しかも、

飲み薬でなく点滴で長期にわたって投与する必要があります。

1年半投与した結果で、27パーセントが認知症の進行が遅らせたとのことです。

 

いっぽうで先行した米国では1人あたり1年間で日本円換算で約385万円と高価で、

副作用として脳の腫れや、脳内出血の報告がされています。

(出典参考資料:中国新聞2023年9月20日朝刊・くらし面から他)

 

 

 

 

 

 

 

この新薬「レカネマブ」を

どう受け止めるかは、あなた次第ですが。

 

いっぽうで

費用がかからなくて、一切の苦痛もなく、副作用の心配のない

認知症の予防法があるとしたらどうでしょうか?。

 

これが”眠りを上手く活用すること”なのです。

 

結論から申し上げると

睡眠時間を適度に確保して、良質な眠りが

認知症とくにアルツハイマー型認知症予防に役立つのです。

 

詳しいことを

さきの脳内の有害タンパク質「アミロイドβ」をとって説明いたします。

アルツハイマー型認知症の原因”アミロイドβ”とは?

脳内では複雑でさまざまな活動がなされていますが、

活動すれば老廃物すなわちゴミも出てきます。

 

脳内ででてくるゴミの一種がアミロイドβです。

タンパク質の一種で、脳内で絶え間なく排出されています。

これがアルツハイマー型認知症を引き起こす大きな原因と言われています。

 

このアミロイドβは、脳内にたくさん溜まってくると

認知や記憶をつかさどる脳の神経細胞を侵してくるのです。

その結果、神経細胞が死んで機能しなくなります。

 

神経細胞は認知や記憶に重要な機能を備わっているので

機能不全になれば、思うように認知できない、記憶もできないなど

アルツハイマー型認知症の原因に結びついてきます。

 

もし、どうもイメージが難しいようでしたら

お部屋のなかの清掃状況を想像してください。

たとえば日々暮らしているとゴミが溜ってきますね。

 

それなのに

ちゃんと掃除をしていないと、どんどんゴミがたまりますね。

ゴミ屋敷のように部屋中がゴミだらけになると、足の踏み場も失くして

まともに生活もできませんね。

 

さらに

ホコリや悪臭も充満して不潔な状態になって、

まさに不健康な環境になってしまいますね。

 

つまり

脳内にアミロイドβといった有害なタンパク質が溜まりあげると、

まさにゴミ屋敷のようになって神経細胞の活動を妨げ、機能不全にさせて

その結果、脳の本来の機能を妨げてアルツハイマー型認知症の原因になるわけです。

脳内にはアミロイドβなど老廃物を清掃するシステムが備わっている

前項では

脳内のゴミであるアミロイドβがたまると

いずれはアルツハイマー型認知症の原因になることを説明しました。

 

いっぽうで脳内には

ちゃんとアミロイドβといった老廃物を排出するお掃除システムが

ちゃんと備わっているのです。

 

ではそのお掃除システムをご説明します。

 

脳内には他の身体の部位とちがって

老廃物を排出する役目もあるリンパシステムがありません。

リンパシステムと異なる、独自のお掃除システムが脳内にあるのです。

 

お掃除システムと、グリア細胞・アストロサイトって何?

お掃除システムを説明する前に

脳内で活躍する3つの役者さんをご紹介します。

 

1.神経細胞 2.脳内血管 3.グリア細胞とアストロサイト

ひとつは神経細胞(ニューロン)です。

高校の生物や保健体育で”ニューロン”という呼び名で

覚えている方も多いと思います。

 

認知や記憶、思考に関係してきます。

神経細胞は約1,000億もあり、神経細胞の末端にはシナプスといって、

神経細胞どうしの伝達させますが、このシナプスも100兆もあるといわれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

続いて脳内の血管

脳内には細かい血管があって動脈からは水や栄養分を供給し

静脈からは老廃物すなわちゴミを集めて運搬します。

 

そして

グリア細胞のアストロサイトです

 

まずグリア細胞ですが、

先にご紹介した神経細胞でない脳内の細胞を指します。

 

おもな役割として、神経細胞に栄養を供給したり

異常な神経細胞を除去したり、神経伝達を速めることを手伝ったりします。

 

そのなかでアストロサイトいうグリア細胞の1種ですが、

これが脳内のお掃除システムに関わっている言われています。

 

脳内を掃除する”アストロサイト”の水システムとは?

脳内を掃除するアストロサイトとは?

 

アストロは“星”という意味があるようです。

アストロサイトは星状の非常に変わった形状をした細胞です。

 

この形状は脳内の血管を包み込むのに非常に都合が良いのです。

 

脳内の血管の周囲にアストロサイトが包み込むことで

血管に流れている栄養分を取り込んで、脳内の神経細胞に供給しているのです。

 

いっぽうで星状をしたアストロサイトの突起先には

アポクリン4という水チャンネルがあって、ここに水が取り込めるようになっているわけです。

 

脳にはリンパシステムがないので、リンパ液で老廃物を洗い流すわけにはいきません。

そのかわり脳脊髄液が行うことになります。これが水チャンネルと関わってきます。

 

脳内血管に流れ込んできた脳脊髄液は

アストロサイトの突起先にある”アポリン4”という水チャンネルで拾って、

アストロサイトを満たしてきます。

そして満たされたアストロサイトから脳内に流れ込んでいきます。

 

これが脳血管の動脈から静脈のあいだを

脳内を対流しながら、浮遊しているアミロイドβなど老廃物を流し去るわけです。

 

脳内で流し去ったアミロイドβなどの老廃物は、

おなじく動脈側にあるアストロサイトの突起先の水チャンネルで捕まえて

今度は脳内の静脈に戻すというシステムができあがっているのです。

 

これが脳内の老廃物を流し去る”お掃除システム”で

いつでも作動していますが、非常に効率よく作動する時間帯があるのです。

それが次に説明します「睡眠中」なのです。

脳内のゴミ掃除システム-睡眠中になぜ効率が良くなるのか?

どうして睡眠中に脳内のゴミ掃除が効率よく進むのか?

 

実はこのグリア細胞は睡眠中に収縮する性質があります。

研究によると60パーセント(注※2)も縮むそうです。

これが大きな要素となります。

 

たとえば学校の教室をお掃除する時を思い浮かべて下さい。

掃除する時に各自の机やイスを、いっせいに教室の後ろなど片隅に片づけると

教室のスペースが広くとることができて、清掃がはかどりますね。

 

睡眠中にグリア細胞が収縮するのは、まさに教室を清掃するイメージです。

スペースが広くなれば、脳脊髄液がよく流れて脳内の清掃効率があがるわけです。

 

適度な睡眠時間をとり、ぐっすり眠れるという”質の良い睡眠”が

アミロイドβはじめとする老廃物の排出の効率が格段に上がるといわれています。

認知症とくにアルツハイマー型認知症予防には眠りが重要ということが

ご理解いただけたのでないでしょうか。

参考:データでみる”眠りで差がつく認知症リスク”

ここはデータ実証のコーナーです。

海外での調査もありますので、少し難しいところがあるかもしれません。

ご興味のない方や、面倒くさい方はこの項を飛ばしていただいても構いません。

(データその1)

45~75歳の健常者145人を対象に、睡眠の質とアルツハイマー型認知症の

初期段階の関係をみた研究では、睡眠効率(睡眠時間を臥床時間で割った割合%)が悪い場合は、

正常者に比べて最大5.6倍もアミロイドβ沈着の危険性があったとしています。

 

出典:日本睡眠教育機構監修・睡眠検定ハンドブックから(原文のまま転載)

Ju YE, et all: Sleep quality and preclinical Alzheimer disease, JAMA Neurol,

70;587-593,2013

(データその2)

40~60代の男性26人を対象に、実験的に24時間覚醒を続けると、通常の睡眠を

とった場合に比較して脳脊髄液中のアミロイドβ42が増加し、アルツハイマー型認知症の

リスク要因になると推測されています。

 

出典:日本睡眠教育機構監修・睡眠検定ハンドブックから(原文のまま転載)

Ooms S, et all: Effect of 1 night of total sleep deprivation on cerebrospinal fluid

β-amyloid 42 in healthy middle aged men; a randomized clinical trial. JAMA Neurol,

71 : 971-977, 2014

(データその3)

平均年齢81.7歳の認知症の無い地域高齢者698人を6年間にわたり観察したカナダの

研究からは、6年後に認知症になった率は、良好な睡眠者に比べると、不眠に加えて

アポリポタンパク質E4(APOE4※注)を有する群では、アルツハイマー病発症が約3倍

高くなっていました。

 

(※注;アポリポタンパク質-アルツハイマー型認知症に関連した遺伝子であり、

日本人の約27パーセントが有すると言われている)

 

出典:日本睡眠教育機構監修・睡眠検定ハンドブックから(脚注一部要約)

Lim A, et al : Modification of the Relationship of the Apolipoprotein E4 Allele to

the Risk of Alzheimer Disease and Neurofibillary Tangle Density by Sleep. JAMA

Neurol, 70: 1544-1551,2013

最後に

睡眠不足、眠りの質に問題があると

脳内のゴミ清掃の効率があがらず、アルツハイマー型認知症の原因となる

有害タンパク質”アミロイドβ”の滞留をどんどん増やして、結果的にアルツハイマー型認知症の

リスクが上がることがご理解いただけたかと思います。

 

いっぽうで

キチンと眠って、さらに質の高い眠りをすれば脳内のアミロイドβといった有害物質を

洗い流すお掃除システムが効率よく働いてきます。

 

その結果

アルツハイマー型認知症の発症リスクが下がることで、

予防につながることもわかっていただけたかと思います。

 

眠りは、クスリと違ってお金もかかりませんし、副作用もありません。

人間の本能である眠りを最大限に有効活用して、認知症予防でこれからの

人生を楽しんでみませんか?

 

次回は具体的に質の高い眠りを確保する方法をご紹介します。

(おわり)

導眠整体らくしん館 代表:永見ヤスヒロ(睡眠健康指導士)

【整体相談室】広島市西区古江西町4-17 BM10ビル106号

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