新薬レカネマブは、アルツハイマー型認知症への切り札になるか?
2023.09.22
9月21日は”国際アルツハイマー・デー”でしたが…
広島市の導眠整体らくしん館・上級睡眠健康指導士のナガミです。
認知症の大半がアルツハイマー型であると言われています。
また新薬「レカネマブ」も話題になって認知症治療の切り札になるのか?関心が高いようです。
今回はアルツハイマー型認知症と新薬「レカネマブ」をわかりやすくご説明します。
さらに、まったくお金がかからない!普段からできる認知症予防の方法もご紹介します。
アルツハイマー型認知症って、な~に?
さきに、なぜ認知症が深刻な問題になっている理由ですが
高齢化がすすむにつれて、認知症患者やその予備軍(軽度認知障害)が激増しているのです。
厚労省よると2012年の統計では認知症患者の数が462万人、
さらに2020年時点で600万人におよぶと推計されています。
つまり高齢化がすすむにつれて認知症患者も右肩上がりで増えています。
本人だけではなく、その家族や社会全体にも深刻な問題となっていることは
誰もがお気づきかと思います。
認知症にもさまざまなタイプがありますが、
発症の約7割をしめるのがアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症にいたるメカニズムは脳内にでてきます。
タンパク質の一種でもある“アミロイドβ”という不要物質が脳内にどんどんたまっていくと、
記憶や思考などをつかさどる神経細胞が壊れて認知機能が低下していくといわれています。
これがアルツハイマー型認知症になっていくメカニズムです。
新薬「レカネマブ」って、な~に?
まず新薬レカネマブはどうして効くの?という疑問からお答えします。
いままでの薬は、脳の神経細胞を活性化させることで症状の進行を遅らせることでした。
今回の新薬レカネマブは、
アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβにくっついて取り除くという役割があって、
より症状の進行を遅らせることが可能だと言われています。
ちなみに臨床データによると
2週間に一度、1時間ほどかけて点滴したところ1年半で
症状の悪化を約27パーセント抑えられ、
症状の進行を7カ月半遅らせることができたとしています。
ここで注意したいのは、
すでにアルツハイマー型認知症がすすんで
壊れた脳の神経細胞を再生することはできません。
つまり完全に治して、元通りにすることはできません。
したがって病気そのものを治すということより、
今ある症状の進行を遅らせることが目的なので、誤解されないようにしてください。
気になる新薬「レカネマブ」の問題点
アルツハイマー型認知症を根本的に治すのではなくて、
病状の進行を遅らせるのが目的の新薬「レカネマブ」も課題があります。
それを4つにまとめました。
1.認知症患者、誰でも使えるとは限らない
さきほど申し上げた通り、
壊れた神経細胞を再生できないのでアルツハイマー型認知症そのものを治すことはできません。
軽度認知障害や軽い認知症を持つ方に、病状の進行を遅らせる目的として使われると思いますので、
とうぜん対象者も限られてきます。
2.高価である
2週間に1回の点滴が必要といわれていますが、
先行使用している米国では、年間の価格が2万6500ドル(約390万円)にのぼります。
日本での価格がでていませんが、かなりの高額になると思われます。
医療保険が適用されると高額療養費制度で自己負担は抑えられますが、
そのぶん医療保険財政を大きく圧迫することになります。
3.事前検査の負担が大きい
事前に脳内のアミロイドβの蓄積を調べる検査が必要となります。
ひとつは特殊画像撮影する方法ですが、全国で63施設しかなく保険適用もなく
10~30万円かかると言われています。
ほかに脳脊髄液を抜き取る方法もあるようですが、
こちらは患者の身体的な負担がともないます。
4.副作用は?
薬である以上“副作用”のリスクは避けがたいところがあります。
臨床試験では12.6パーセントに脳の腫れ、
17.3パーセントに脳内で微少出血が確認されたということです。
もっと簡単で安上がりな”認知症対策”ができないの?
「認知症対策」-もっと簡単で安上がりな方法はないの?
認知症になり、症状がすすむと回復させるのが困難であるため、
早期に認知症予防、軽度認知障害の予防に心掛けておくことが大事です。
ふだんの生活習慣を改めることも、予防につながりますが
そのなかで有力なのは「眠りの質をあげる」ことです。
どうして”眠りの質があがれば、認知症予防につながるか”は
コチラのリンクをご覧になってください。↓↓↓
今回は国際アルツハイマー・デーにちなんで
アルツハイマー認知症と新薬レカネマブについて簡潔に説明しました。
(おわり)
導眠整体らくしん館 代表:永見ヤスヒロ(睡眠健康指導士)
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【参考資料:(一社)日本睡眠教育機構 中国新聞2023年9月20日刊・くらし面
令和元年6月20日 厚労省老健局 認知症施策の総合的な推進について】